KULASIS掲示「熊野寮自治会関係者による迷惑行為及び違法かつ危険な行為について」に対する抗議文

 

 2022年12月16日付で、KULASIS上に京都大学文責で学生に対して熊野寮自治会が行った熊野寮祭企画「総長室突入」に関する文章が公開された。企画「総長室突入」は大学の現状、大学当局が一切の意思決定権を担い大学構成員の大多数を占める学生が蔑ろにされている現状に否を突きつけ、それを変更するために行われたものである。熊野寮自治会はKULASIS上に発表された文章に、このような一方的な判断と喧伝で学生の意思を無視しようとする大学当局の態度が如実に表れていると判断し、断固として抗議する。




  1.  『熊野寮祭の企画については、本学は事前に熊野寮自治会に対して危険な行為、迷惑な行為等を実施しないよう通告していた』という記述について、寮祭は寮外の学生や学外の市民も含めて楽しみ、交流する機会になっており、危険、迷惑な行為と一面的に断じられるようなものではない。したがって、この寮祭への「通告」の正当性は自明のものではない。さらに、「危険行為」「迷惑行為」という定義は極めて曖昧模糊としている。危険さや迷惑さとそれが社会的に必要なものかどうかはまったく異なる価値基準である。大学当局は寮祭企画が「危険」「迷惑」と喧伝するわりには、「危険な」弾圧行為や「迷惑な」規制をいくらでも行っているのであって、通告は「危険」「迷惑」といったレッテルを恣意的に用いているに過ぎない。寮祭という自主的な表現の発露の場、社会参加の場を、不当かつ一方的な規制やレッテル貼りを利用して抑圧しようとする京都大学当局の態度は認められるものではない。熊野寮自治会は、寮祭への「通告」の正当性を前提化した記述には断固抗議する。



  1.  『本部棟前では、担当窓口を案内する掲示や、職員の案内を無視して』という記述について、まず当日本部棟前の職員は、総長を呼び出し学生との対話を促すべきであった。なぜならば、企画「総長室突入」は「担当窓口」や「案内」先に学生の声を押し込めようとする大学当局の態度を批判するものとして行われているからである。寮担当の窓口は厚生課だが、厚生課には何の決定権もないばかりか、団体交渉を要求しても門前払いされ、決定権のある当局の上層部には学生の声は一切届かない。企画「総長室突入」は、そんな現状を変更するために行われたものだ。むしろ「担当窓口」の態度や、学生の声に耳を傾けようとしない大学当局こそ悪質であり、自治会として看過することはできない。



  1.  『建物管理者の指示を無視した明らかに平穏とはいえない違法な立入り行為』という記述について、そもそも学生が本部棟において総長と対話することは違法ではなく、建物管理者は学生を総長のもとに案内するべきであった。また、学生は大学の構成員の多数を占めているにも関わらず、我々学生が学内の施設管理権に一切の権限を持たない現状は、大学の民主主義的あり方とは全く異なるものである。熊野寮自治会は、大学当局が「建物管理者」として幅を利かせ、学生に対して一方的な「指示」を行い、従わない人間に対して「違法な立ち入り行為」などと断じること、また、学生の正当な要求を一方的な価値判断によって「平穏とは言えない」「違法」などと喧伝することに抗議する。



  1.  『本部棟内に侵入した一部の関係者は、(中略)重ねて違法かつ危険な暴力行為にも及んだ』という記述について、学生の声に耳を傾けずに一方的なやり方で学生の権利を縮小し続け、抗議する学生を懲戒処分や警察導入によって恫喝する、京大当局の態度こそが暴力的である。そもそも学生の暴力行為は確認されていないうえ、このような一方的な通告ならばどんな行為であっても「暴力行為」と断じることができてしまう。今回の企画は、そのような一方的な通告、少数の権力者による判断に反対するものである。さらに声を上げる学生を「危険」「悪質」とあげつらい、権力を振りかざし分断を図るやり方も悪辣かつ杜撰な宣伝である。



  1.  『自治会としての責務を果たす意思と能力がない』という記述について、これは単なる言いがかりであり、学生全体の利益を体現するために総長という権力者に要求を突きつける、数百人規模の行動を実施できる熊野寮自治会は「自治会としての責務を果たす意思と能力」に満ちていると言えよう。さらにその影響力は熊野寮自治会のみにとどまるものではない。このように問題意識をもって行動する学生の集団は、大学の構成員のうち圧倒的多数を占める学生という立場の利害を代表する存在であり、また京都大学のあり方を切に憂いて声を上げた存在である。そのような行動主体を生み出し、それを組織していく熊野寮自治会の「自治会としての責務を果たす意思と能力」は、ひとり熊野寮自治会の範疇のみにとどまらず京都大学全体の自治を牽引していく組織としても十分に備わっているものである。



  1.  文責について、「京都大学」とのことであるが京都大学の構成員である我々学生の意思は全く反映されていない。再三述べているように、我々は「京都大学」を名乗って少数の役員が一方的な意思決定を行っている現状を問題視し、変更しようとしているのである。大学のあり方について考え、声を上げる我々学生こそが真に「京都大学」を名乗るべき存在であり、大学を私物化する役員会にその権限はない。



2023年4月3日  熊野寮自治会