第三小委員会に対する反論文

 

 学生生活委員会第三小委員会 御中

 

 3月8日に貴委員会から熊野寮自治会に送られてきた文書について、以下の通り反論しま す。熊野寮自治会としては、このような多くの誤りを含み、かつ一方的な文書を認めること はできません。

 

 

・「熊野寮は京都大学に学籍を有する者のための施設です。」という記述について

 

 その様な認識は誤っています。

 前提として、京都大学は、その基本理念の「社会との関係」を以下に定めているように、 社会的な役割を負った組織です。

 「5.京都大学は、開かれた大学として、日本および地域の社会との連携を強めるととも に、自由と調和に基づく知を社会に伝える。

 6.京都大学は、世界に開かれた大学として、国際交流を深め、地球社会の調和ある共存に貢献する。」

 したがって、京都大学の施設である熊野寮、ならびに京都大学の構成者である熊野寮自治 会と熊野寮生は、こうした理念に基づいた実践的活動をすることが求められます。京都大学において得られる知を、最大限社会に還元するうえで、そこで学ぶ権利を学位や単位の取得を目指す「学籍者」のみに限定することは障害となります。京都大学では、長年多くの市民講座が開催され、大学で得られる知を「学籍者」に限らず社会に還元する取り組みを行ってきたはずです。

 熊野寮自治会も同様に、熊野寮という施設で得られる知や経験を、広く社会に還元するために、熊野寮を閉鎖的な寮とするのではなく、開放的な空間として創り上げてきました。

 熊野寮の存在意義を「学籍を有する者」に限定する発想は、京都大学を学内的な利害に基 づく独善的な存在に貶めるものです。

 

 

・「熊野寮の居住実態を把握し」という記述について

 直前の部分との関連性が分からず、論理的飛躍があります。また、「居住実態」という曖昧な言葉の指している中身が分かりません。熊野寮を万全な福利厚生施設とするうえで、一体どういう情報が、なぜ必要になるのか、具体的に説明願います。

 

 

・「職員が入って確認することが必要です」という記述について

 

 この問題は、4 月から、熊野寮守衛の業務に「現認」を入れて頂いたため、設備補修のために守衛以外の職員が入る必要性はなくなったものとして、解決済みと把握しています。また、 厚生課の職員が事前に通告していただいている限りでは、寮自治会が職員の立ち入りを妨害した事実はありません。

 突然の来訪によって、寮生のプライバシーが侵害されたことについて抗議した部分を意図的に切り取り、職員の立ち入りを絶対に認めない態度を取っているように描くあり方は心外です。

 

 

・「法令及び大学の規程を遵守して…」という記述について

 

 前文の内容と対応していない無関係な話です。その様に主張する具体的な根拠や主張すべきという判断に至った経緯を教えてください。

 

 

・「居住者が学籍を有している者であることを…」という記述について

 1971 年に浅井学生部長(当時)のサインした確約に基づき、寮生の名簿は提出せず、京大新聞紙上で発表します。

 また、居住者が学籍を有している者である必要があるのはなぜでしょうか。上でも述べた 通り、熊野寮自治会は全社会に開かれた施設としての熊野寮の役割を果たすために、最大限の努力を果たしてきました。これに対して、居住者が学籍を有するものに限定されるべきという主張をなさるなら、その立証責任はそちらにあるはずです。

 京都大学当局は、一方的な懲戒規程によって学生の学籍を剝奪することが可能です。2017年には、現に懲戒処分によって学生の学籍が剥奪されることがありました。このような状況下で、熊野寮に居住する権利を学籍者に限定した場合、大学当局の一存によって熊野寮に居住することが可能な者を選別できることになります。これは、入退寮選考権を熊野寮自治会 が有することを認めさせてきた歴史を覆すものであり、確約に違反しています。熊野寮自治会が入退寮選考権を持つことで、熊野寮に居住することができる者の範囲を、かつては管理規程に基づいて「男子日本人学部生」に限定されていたところから拡大してきた歴史があります。

 なお、2017 年に、放学処分を受けた熊野寮生 3 名に対して、川添副学長(当時)から退通告が為されましたが、これが入退寮選考権の侵害の類似行為であることを熊野寮自治会から指摘したところ、当局側からのそれ以上の反論や追及はなく、熊野寮の主張が認められたものと認識しています。このことを踏まえれば、無学籍者が住むことを大学当局は当時認めたことになります。

 熊野寮に居住する権利を学籍者に限定することについて、一般的に「学費を払っている者」 に限定すべきだからという理由付けが為されがちですが、熊野寮生は熊野寮に住むための費用として、すでに寄宿料を納めています。さらにそれ以前の話として、こうした社会的な役割を負った施設であることから、国立大学には運営費交付金として税金が投入されていますが、この源泉となっているのも市民の税金です。この時点で熊野寮生は 2 重の収奪を受けているにもかかわらず、「学費を払っている」ことを熊野寮居住の条件とするならば、 熊野寮生は三重の収奪を受けることになります。また、そのロジックに基づけば、京都大学当局は一刻も早く、熊野寮と同等以上の居住環境を、学費を払っている者全員に保証しなければならないことになります。本来、熊野寮にかかるあらゆる経費は全て税金によって賄われるべきもので、その負担を寮生や寮外の学籍者に求めるあり方が間違っているのです。

 また、熊野寮への居住を希望するすべての人間に対して、社会に開かれた知を提供すべき立場にある京都大学と熊野寮自治会は、居住環境を提供する責任があります。熊野寮自治会 は、一人でも多くの熊野寮での居住を希望する者に対して、居住環境を提供するために最大限の努力をしてきました。しかしながら、熊野寮での居住を希望する者は非常に多く、ソフ ト面での対応だけでは対応しきれない状況に達しつつあり、ハード面での対応が求められます。改めて、熊野寮の定員増に向けた設備の増築を求めます。

 

 

・「熊野寮の居住状況の確認、および…」という記述について

 

 上で回答した通りです。

 

 

・「無許可で設置されている自動販売機を速やかに撤去すること」という記述について

 

 前文と一切関係ない事項です。寮内に自動販売機が設置されていると主張する根拠、また撤去するように主張する根拠をおっしゃってください。

 何度も申し上げています通り、熊野寮の基本確約第2項に基づいて、熊野寮の日常的な運営は熊野寮自治会が負っています。熊野寮内の、どこにどのような物品を置くかどうかは、 確約で認められた熊野寮自治会による自治の範疇です。

 以上

2022年5月11日

京都大学熊野寮自治会

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第三小委員会から送られてきた要請の文書です。
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