確約引き継ぎ団交要求書

 

 京大のHP(https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/organization/executive/staffs)に依ると学生担当理事・副学長が、2023年4月1日付で國府 寛司(こくぶ ひろし)氏に交代になったようです。この議案は副学長の交代に伴い、京大当局と熊野寮の間に結ばれた確約の引継ぎのための副学長団交を当局に要求する文書です。

 

要求書

 

副学長 國府 寛司 殿

 

下記の「熊野寮自治会と京都大学の基本確約」および「確約書」(以下、確約とする)についての団体交渉の場を持つことを要求する。

 

現在、熊野寮自治会と京都大学の間に結ばれている確約は、その条文に則り、学生担当副学長の交代に伴って前任者から貴殿に引き継がれている。そして、確約の条文解釈および各条文に関する歴史的経緯については、確約が引き継がれた後すみやかに団体交渉の場を設けて確認することが通例となっている。

 

熊野寮自治会と京都大学の基本確約

熊野寮自治会と京都大学は、2015年1月9日に結ばれた、両者の確約書に則り、以下の内容に合意する。両者は熊野寮が京都大学学生全体に開かれたものであることを確認し、その一層の充実のため誠実にこの確約内容を履行するものとする。両者は学生の居住する熊野寮の運営に関しては、当事者であり主体的にその責任を果たす学生の自治によることが最良であることを確認し、この認識を基礎にこの確約を結ぶものである。

本確約は文書としては二通作成し、両者が一部ずつ所持するものとする。

 

(1)京都大学は福利厚生施設としての熊野寮を設置し、その施設を維持・管理する。京都大学は熊野寮の一層の充実に努めるものとする。

(2)京都大学は、熊野寮の日常的運営が熊野寮自治会によることを確認し、熊野寮自治会はその運営を誠実に行うよう努力する。

(3)京都大学は、熊野寮の改廃や新寮および新規寮建設、熊野寮に関わる人員配置、またその他熊野寮に重大な影響を与え得る事案に関しては、公開の場で熊野寮自治会と団体交渉を行い、合意の上決定する。加えて、熊野寮自治会と京都大学は、一方が提示した議題に真摯に取り組むものとする。

(4)熊野寮自治会または京都大学は、両者の協議の場において、何らかの条件を付そうとする場合には、相手側の同意を得るものとする。

(5)熊野寮自治会または京都大学は、熊野寮に重大な影響を与えうる事案について何らかの計画を構想した段階で、相手方にその内容を報告するものとする。

 

2023年 5月 12日

 

京都大学副学長

熊野寮自治会

 

確約書

 

上記の「熊野寮自治会と京都大学の基本確約」ならびに2015年1月9日の杉万副学長(当時)による「確約書」を基礎にして、以下の内容を遵守する。

 

(A)熊野寮食堂の機能の維持・向上について

1 過去に熊野寮食堂の食堂労働者を削減した事実を認める。

2 現在の熊野寮食堂の食堂労働者の置かれている労働環境が劣悪であることを認め、その改善に努める。

3 熊野寮食堂において、食中毒が発生したり、感染症が持ち込まれたりしても、これを理由とした食堂廃止は行わない。また保健所の指摘を理由とした食堂廃止も行わない。

 

(B)京都大学熊野寮食堂運営会(以下、「食堂運営会」とする)について

1 2017年6月30日に改正された「京都大学熊野寮食堂運営会会則」ならびに2016年12月16日に改正された「京都大学熊野寮食堂運営会就業規則」を遵守する。

2 食堂運営会雇用調理員に対する一定の雇用責任を認め、労働災害発生時の補償責任を負う。

 

(C)寮内労働者について

1 寮内労働者の雇用形態について本来ならば全員大学雇いが望ましいことを認め、その労働環境・労働条件に関しては改善に努める。

2 恒常的業務に従事する寮内労働者が退職となった場合には、後任を補充する。この後任補充の際、雇用形態や労働条件などの、労働に関わるすべての条件を、前任者と同等もしくはそれ以上で確保する。

 

(D)寮の生活環境の向上について

1 寮自治会から生活環境に関する要求があった場合には、その要求された箇所について調査を行い、そのための工事や改修について検討する。また、その検討結果を速やかに寮自治会に報告する。

 

(E)熊野寮に対する家宅捜索などについて

1 熊野寮に対する家宅捜索の立会いの方法について、熊野寮自治会からの要求があった場合には、熊野寮自治会と協議する。

 

2 熊野寮に対する家宅捜索において、寮自治会への令状不提示、過剰警備(玄関前等の占拠)、抗議する寮生や掲示物のビデオ・写真撮影など自治や人権を侵害する行為が行われた場合には、その場で抗議する。

 

3 熊野寮に対する家宅捜索が不当であるかどうかを検討し、寮自治会に対して、その検討内容を明らかにする。不当であると判断した場合には、速やかに抗議する。

 

4 熊野寮自治会から「外部団体により不当な扱いを受けたので抗議してほしい」という要求があった場合、大学職員がその不当な扱いを現認したか否かにかかわらず、抗議の是非を検討する。また熊野寮自治会からの要求があった場合には、その不当な扱いについて、熊野寮自治会と協議する。

 

(F)桂キャンパスの利用について

1 熊野寮生をはじめとする学生の桂キャンパスへの通学において、不便とならないように努める。

2 桂キャンパス周辺に新規寮を建設することを検討する。

 

(G)寮自治会と国立大学法人京都大学の関係性について

1 中期計画、年度計画を文部科学省に提出する前に、寮に対してどのような影響があるのかを寮自治会に対して提示・説明し、寮自治会からの要求があった場合には、内容を変更することが可能な協議の場を持つ。

2 国立大学法人運営費交付金など大学法人の収入減少を理由とする寮関係予算の削減を行う場合、その重大性などに関する寮自治会との真摯な議論を経て、寮自治会と合意するものとする。

 

(H)団交-確約体制ならびに確約の引継ぎについて

1 学生担当理事、厚生補導担当副学長は、熊野寮自治会との間において、団交-確約体制を維持する。

2 学生担当理事、厚生補導担当副学長は、「熊野寮自治会と京都大学の基本確約」ならびに本確約を、次期以降の学生担当理事、厚生補導担当副学長に引継ぐ。

 

京都大学熊野寮自治会殿

 

2023年  月  日

 

京都大学副学長

 

2023年 月 日

熊野寮自治会