要求書

 

京都大学総長 湊長博殿

 

 昨年11月以降、2022年度熊野寮祭の寮祭企画である「総長室突入」に参加したとして5名の学 生が呼び出しを受け、懲戒処分が検討されている。今回の処分のための呼び出しにおいては、 「総長室突入」に関して、「他の学生等を扇動」し「喧騒を激化」させたことが問題とされている。し かし、湊総長体制の下で、寮生・学生の声が一切顧みられずに一方的な管理強化・自治破壊が 進められてきたことに対して、全学の学生に呼びかけて抗議の意思を示すことは当然である。実 際に当日は、多数の学生が京大の現状に怒りを表明し、湊総長に直談判を要求した。この主張 を一切無視して学生処分を行うことは、学生の人生を人質にとって大学当局の横暴に異を唱え る行為そのものを叩き潰そうとするものであり、到底認めることはできない。

 

 2016年以降、熊野寮生を中心として、10名以上の学生にかけられてきた処分も同質のもので ある。「業務妨害」を口実に、大学当局による管理強化・自治寮への攻撃に抗議した学生に対し て、学生の言い分は一切顧みられずに学生懲戒規程が恣意的に運用されている。その結果、学 生は立て看板の一方的な規制や窓口における職員の不正な行為など、大学の疑義があっても、 処分の可能性を前に萎縮させられ、理不尽を強いられ、大学の規制を受け入れざるを得ない状 況に追い込まれてきた。こうして自治破壊が行われてきたのである。学生処分の問題は廃寮に 向けた攻撃であると同時に全学生の問題であり、熊野寮自治会として看過できるものではない。

 

 また、学生処分は、数十年来、国策としての大学改革が学生の声を無視して一方的に進めら れ、全国の大学が「採算を取る」ことを要求される中で、多くの学生寮が廃寮に追い込まれ、学生 の学びは管理され、生活が破壊されてきたことと一体の問題である。現在東京大学をはじめ、全 国の大学で学費の値上げが問題となっている。これは大学改革政策における学生の生活破壊 の最たるものであり、許されるものではない。京大当局も熊野寮や吉田寮との交渉を一方的に打 ち切って廃寮化攻撃を行い、保健診療所も反対の声がある中で廃止を強行するなど、大学改革 を先頭で推し進める張本人として存在している。以上のような「改革」の障害となる学生に対して 処分が行われてきたのである。

 

 そして、国策と一体で行われてきた京大当局による横暴に対して、熊野寮自治会は全学的な立 場で何度も窓口に赴き、署名を提出し、時には総長室突入など身体を張った闘いも行う中で、学 生なら誰でも住める安価な学生寮を守ってきた。熊野寮自治会は全学的に闘ってきた立場から、 湊総長に以下の通り要求する。

 

・現在進められている処分手続きと、これまでかけられた全ての不当な学生処分を撤回するこ と。また、声を上げる学生を黙らせるために用いられている学生懲戒規程を撤廃し、不当な規制 に声を上げた学生に対して、一方的な学生処分を今後行わないこと。

 

また学生処分に限らず一方的な管理強化・自治破壊をやめること。

 

・今後、学費の値上げを行わないこと。また、その旨を全学に対して明言すること。

 

・各学生団体の団体交渉要求に誠実に応じること。

 

2024年7月11日 熊野寮自治会