2023年4月30日に行われた家宅捜索における、京都新聞社の悪質な取材活動に対する抗議声明
2023年4月30日に京都府警により行われた熊野寮に対する不当な家宅捜索の現場において、極めて悪質な取材活動を行った京都新聞社に対して、熊野寮自治会は以下のような抗議文を提出しました。報道機関各社におかれましては、今後二度とこのような悪質な取材・報道活動を行わないように求めます。
【抗議声明本文】
京都新聞社代表取締役社長・主筆 大西祐資殿
2023年4月30日に京都府警により行われた京都大学熊野寮への家宅捜索において、貴社社会部の記者は熊野寮正門前の丸太町通の歩道上で、極めて悪質な取材活動を行っていました。また、当日の当該記者の取材活動は、丸太町通の歩道上における当該記者と「本社」との少なくとも2回にわたる電話に基づいて行われていたことを確認しています。そのため、今回の悪質な取材活動は当該記者の無思慮な単独行動として片付けられるものではなく、京都新聞社の意思として行われたものであることは明らかです。故に熊野寮自治会は京都新聞社に対し、今回の悪質な取材活動に関して強く抗議するとともに、二度と今回のような悪質な取材活動を行わないよう求めます。
当日熊野寮自治会が確認した当該記者による悪質な取材活動の内容は以下の通りです。
・当日の京都府警と寮生との間のやり取りの現場において、当該記者が丸太町通の歩道上から撮影を行った。多数の寮生が写り込む状況であったにも関わらず、個々の寮生または寮自治会に対して事前の撮影許可を求めず、また説明も一切行わなかった。
・当該記者の写真撮影に気付いた寮生が、撮影した写真を報道で使用する際に寮生の顔にモザイク処理を施すように求めたにも関わらず、当該記者は「本社」に電話して確認した上で「約束できない」と述べ多数の寮生が写り込む可能性のある写真撮影の継続を強行した。
さらに言えば、単に当該記者の取材活動ということに留まらず、貴社が取材対象であると認識している寮生及び熊野寮自治会に対して一切の対話を試みることなく、文字通り「光景」を撮影してただそれを全国報道するという在り方が、貴社の報道機関としての適切な在り方であるかは、大いに疑問です。今回の家宅捜索は「電子計算機使用詐欺の疑い」で行われたものとしては異例であり、不必要に示威的に数百人の機動隊が動員され寮生の平穏な生活が侵害されたという点で極めて悪質なものでした。「証拠」とされ押収された物品も、それが「証拠」として有効なものかは極めて疑わしく、逮捕された寮生は結果的に起訴されずに釈放された点などを考慮すると、今回の家宅捜索が関係する誰にとっても有害無益であったことは明白です。日曜日の昼間に数百人の機動隊を動員して行う京都府警の不必要な家宅捜索は、市民から集めた税金の使途として明らかに不適切です。報道によって市民社会の権利を拡充し、公権力を監視することを使命とする報道機関としては、まさにこのような点をこそ糾弾し、報道すべきではないでしょうか。