2021年6月24日家宅捜索に関する抗議声明
(以下、声明本文)
2021年7月12日
京都地方裁判所第2民事部合議係 浦恩城泰史
京都府警察本部 公安課長補佐 五十川雅洋
京都府川端警察署 警備課長 山本斉
京都大学熊野寮自治会
抗 議 声 明
京都府警察本部による2021年6月24日の京都大学熊野寮(以下、寮と記す)への家宅捜索において、公安警察・機動隊による不当行為・人権侵害が数多く行われた。寮自治会として強く抗議する。
今回の家宅捜索の不当性を以下に具体的に述べる。
1.事件を口実にした寮自治会に対する不当な弾圧である
1-1.捜索場所の不当性から
先ず、本件捜索は市内の被疑者下宿や実家、親戚宅など全国7箇所で行われた免状不実記載被疑事件の捜索の一環であるが、被疑者の生活実態がない寮と事件との関連が不明であり、捜査員に説明を求めても明らかにされなかった。関連があると判断した根拠を明らかにすべきである。
根拠が明らかにできないならば、証拠の捜索が目的であるとは言えず、単に寮に家宅捜索する口実を設けているとしか考えられない。このことから、本件捜査の目的は寮生を威圧し、生活を破壊するものであると言える。
1-2.マスコミ各社への事前の情報漏洩から
事前にマスコミ各社に情報漏洩していた。2014年11月の警視庁による寮への家宅捜索の際に初めて行われたこの手法は、マスコミ各社に寮に関する偏った報道をさせ、それによって寮自治会に揺さぶりをかけて寮自治会の団結を破壊し、寮自治を内部から解体させようという卑劣な行為である。
1-3.「押収すべきもの」の不当性から
熊野寮に居住する寮生ではない被疑者の免状不実記載に関する証拠が寮内から出てくるとは到底考えられず、さらに今回押収されたのは寮生の私物のノート1点のみであり、この押収品と事件との関連については、寮生が説明を求めても明かされることはなかった。事件を口実にした自治会への不当な介入・情報収集・弾圧であると言える。
2.現場での公安警察・機動隊の不当な行為
2-1.令状別紙の不提示
京都大学の敷地内に入る前に、寮自治会と大学職員に対し、捜索差押許可状の全容を明らかにしなかった。捜索差押許可状本紙を提示し、寮生および職員に読み上げさせたものの、「差し押さえるべき物」を記した別紙については提示しなかった。
これは222条1項と110条に規定されている捜索差押許可状の呈示に反しており、捜索の正当性を著しく損なうものである。
2-2.生活空間の破壊と寮生への威圧
機動隊員動員及び過剰な人数の捜索員動員によって、寮生を威圧した。
熊野寮敷地内への機動隊動員が不要であることは今回の捜索において捜索責任者側も認めたものであり、結果として敷地内に機動隊は立ち入らなかったが、捜索中、寮正門付近の歩道などを機動隊によって不必要に占拠した。これはセンセーショナルな映像をマスコミに撮らせるためのパフォーマンスでしかない。敷地内に入らずとも熊野寮への捜索に際して機動隊を動員すること自体が不当である。
また、捜索範囲となった寮居室においては、捜索員の約半数が居室に入りきらず、捜索範囲外の廊下を長時間に渡り占拠し、寮生の生活空間を侵した。捜索範囲の広さに見合った人数の捜索員のみが立ち入るべきである。
2-3.捜索範囲外での不当な情報収集
捜索場所に入らず屋外に待機していた捜索員1名が本件被疑事件と無関係な自動二輪車約20台について、そのナンバーを記録していた。捜索範囲外での撮影であることから、本件撮影には別個の検証令状が必要であり、令状なき強制捜査であったと言わざるを得ない。以上の理由から本件撮影は令状主義を定める憲法35条、刑事訴訟法218条に反する不当な情報収集・公安活動である。
以上を踏まえ、再度強く抗議し、以下を求める。
記
本抗議文に記載した違法・不当行為が、本件家宅捜索において行われた事実を認め、熊野寮自治会に対して文書で謝罪すること
以上
なお、今回と同様の違法・不当行為が再度認められた場合には、法的措置も含め、厳正に対処する所存である。
付記
差出人
〒606-8393
京都府京都市左京区川端通丸太町下る東入東竹屋町50番地京都大学熊野寮
京都大学熊野寮自治会
受取人
〒604-8550
京都府京都市中京区丸太町通柳馬場東入ル菊屋町
京都地方裁判所第2民事部合議係 裁判官 浦恩城泰史
〒602-8550
京都市上京区下立売通釜座東入藪ノ内町85−3・85−4合地
京都府警察本部 公安課長補佐 五十川雅洋
〒606-8351
京都市左京区岡崎徳成町1
京都府川端警察署 警備課長 山本斉
(声明本文、以上。)
〈以下、補足説明〉
2021年6月24日の時系列
08:45 熊野寮事務室に京都大学教育推進・学生支援部厚生課から「9時にガサが来る」との電話
08:50 寮正門封鎖
08:55 マスコミと大学教職員が寮正門に到着
09:00 捜索員および機動隊が寮正門に到着、責任者の警察手帳を確認
09:06 寮正門で『捜索差押許可状』(令状)読み上げ
09:10 捜索員検温・入構
09:14 捜索場所で再度令状読み上げ
09:16 捜索開始
09:41 B201捜索終了
10:43 B地下捜索終了
10:45 押収品目録交付、捜索隊撤収
捜索員:2箇所で各8人ほど。
B地下捜索責任者:川端署警備課長山本斉
B201捜索責任者:公安課長補佐五十川雅洋
押収品:B地下から寮生の私物ノート1冊のみ。
(令状の記載内容)
捜索差押許可状
被疑者の氏名及び年齢 吉田耕 平成6年7月20日生
被疑者に対する 免状不実記載 被疑事件について、下記のとおり捜索及び差押えをすることを許可する。
捜索すべき場所、身体又は物 別紙のとおり
差し押えるべき物 別紙の通り
差押えるべきものの範囲 別紙のとおり
有効期間 令和3年6月25日
有効期間後は、この令状により捜索又は差押えに着手することができない。この場合には、これを当裁判所に返還しなければならない。
有効期間内であっても、捜索又は差押えの必要がなくなったときは、直ちにこれを当裁判所に変換しなければならない。
令和3年6月18日
京都地方裁判所 裁判官 浦恩城秦史
請求者の官公職氏名 京都府川端警察署 司法警察員 山本斉
捜索場所 中核派が使用する熊野寮B棟地下ボックス及びB棟ボックス前廊下
熊野寮B201号室