2019年学部入試における「オルガ像」設置を理由とした学生処分についての抗議文
京都大学総長 山極壽一殿
京都大学理学部長 平島崇男殿
2020年1月28日付けで、本学理学部に所属する学生1名に対して譴責処分が下されました。2019年度前期学部入試において、学内にアニメキャラクターを模した像(いわゆる「オルガ像」)を設置したこと、入試当日の職員に対する言動、職員の指示に対し即座に従わなかったことが主な処分理由とされています。
熊野寮自治会はこの処分に対して以下2点の理由から強く抗議します。
①当該学生の行動はなんら問題ではない
今回の処分理由において、当該学生の言動(「オルガ像」の設置や職員とのやり取り)が入試業務を妨害したとされています。しかしながら、当時の入試対策委員長だった酒井敏教授によると
・入試当日、試験監督の間ではオルガ像の設置や当該学生の言動は全く問題になっていなかったこと
・むしろ職員の過剰な対応(試験時間中の工作物の撤去や当該学生に対する言動)が問題になったことが分かっています(注1,2)。
この事実からも「オルガ像」の設置は入試業務の進行に対して何ら実害を与えていないものであることは明らかです。
②処分規定の恣意的な運用である
これまで当局は学部入試における工作物の設置を京大の文化として好意的に取り上げてきました。しかしながら、入試担当者すら問題にしなかった当該学生の言動を、さも深刻な妨害があったかのように取り上げ処分を行うことは明らかに処分規程の恣意的な運用です。
この間、入試に限らず、当局は学生の自主的活動を一方的に「迷惑行為」「学生の本分に反する」として規制してきました。このように問題でないことを問題として取り上げる形での学内規則の恣意的な運用が今後も懸念されます。
熊野寮自治会は2019年10月18日付けの声明文で、恣意的に運用できる規程を用いた処分を二度と行わないこと、大学の運営に際しては学生との話し合いを踏まえた意思決定をすることなどを求めましたが、その要求が無視され再び一方的な処分が繰り返されています。熊野寮自治会としてこの事態を看過することはできません。当事者である学生を抜きに
した意思決定、および恣意的な処分を用いた学生への威圧行為を取りやめることを求めるとともに、今回の譴責処分に対し強く抗議します。
2020年7月17日
京都大学熊野寮自治会
(注1)自由を謳う京大が「不自由」になっている...学生が語るその現実,現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70539
(注2)自由の学風/京大変人講座,Twitter
https://twitter.com/orita_hikoichi/status/1181451625442865153