2014年11月13日の強制捜索に関する声明

20141113日、警視庁により熊野寮内への強制捜索が行われました。この件を受けて、現在多数のマスメディアによりあたかも熊野寮が危険で反社会的な場所であるかのような報道がなされています。しかし、熊野寮はそんな場所ではありません。この声明は、今回の強制捜索を受けて、改めて寮内で自治会の在り方を議論した結果として発表するものです。

 

熊野寮は、経済状況が苦しい学生など、あらゆる学生が大学に通えるようにすることを目的とした、京都大学の福利厚生施設です。現在400人を越える学生が居住しており、毎年4月には約100名の新入生を迎えます。

熊野寮は学生の自治会により運営を行う自治寮です。学生どうしが対等な立場で信頼関係に基づいた議論を行い、寮に関する意思決定を行っています。自治会が大学当局と交渉をすることにより、福利厚生施設としての充実した実態を築いてきました。低廉な寄宿料の維持はもちろんのこと、建寮当初は男子学部生のみの寮でしたが、女子学生や、修士・博士課程の学生、留学生などあらゆる京大生へ門戸を開放してきました。自治寮ならではの取り組みです。

かつて全国に多く存在した自治寮は、残念ながら今や少数になってしまいました。近年、経済状況が苦しい学生が増える中、熊野寮のように、学生が自ら運営し安い寄宿料で住める場所はますます必要な存在になっています。実際、毎年熊野寮への入寮希望者は増え続けています。今後も私たち熊野寮自治会は、学生の利害に立って学生の権利を守る為に自治運営に励む決意です。

 

このような学生の生活の場である熊野寮に、150名とも言われる機動隊員が導入され、強制捜索が行われました。今回の強制捜索にはいくつもの不当な点があったと私たちは考えています。例えば、警察は寮敷地内への立ち入りの際、寮と大学の責任者による令状の提示要求に応じず機動隊員を突入させました。捜索の直接の根拠となった寮生2名の逮捕の件と合わせて、自治会としての詳細な見解がまとまり次第しっかり説明していきたいと思っています。

 

マスメディアの行動にも多くの不当な点がありました。

 多くのマスメディアは、私たちの居住空間である寮内に無断で立ち入りました。その上、肖像権の侵害に対する寮生の正当な抗議を無視して寮生の姿を撮影し続け、それが一部の番組ではモザイク無しで報道されました。

また、事実と異なる報道もされています。ある番組では、サングラス、ヘルメット、マスクなどを着用し顔を隠している寮生は全て「過激派」だと報道されました。しかし、私たちは警察やマスメディアから不当に肖像権を侵害されない為に顔を隠していただけで、それ以上の意図はありません。熊野寮では歴史的に「三点」と呼ばれるサングラス、ヘルメット、マスクで顔を覆うことがノウハウとされてきており、思想にかかわらず寮内にある「三点」用品で顔を覆った寮生が多くいました。特に、ヘルメットの種類が思想内容を表しうる、ということに思い至っていなかった寮生が多く存在しています。テレビ等に映った寮生の格好によって思想を安易に判断することがない様、皆さんにはよろしくお願いします。

 

最後に、熊野寮は何ら危険な空間ではなく、学生たちの居住空間であるということを再度申し上げておきます。私たちは熊野寮のあり方を世間に広く説明していこうと、開かれた寮を目指してきました。毎年春には近隣住民の皆さんと協同して「くまのまつり」というお祭を開催したり、12月初頭には「熊野寮祭」を開催したりしています。これらのお祭りには是非遊びに来てください。不安な点などがある場合には、気軽に寮にお問い合わせ下さい。特に、入寮を検討されている皆さんの来寮を心から歓迎いたします。また、一般の皆さまにはこれからもご理解とご支援のほどをよろしくお願い致します。

 

20141121

 

京都大学熊野寮自治会