2024年8月5日
京都簡易裁判所 裁判官 樋口裕晃
京都府中京警察署 司法警察員 宮路喬
京都府警察本部 警備部公安課 司法警察員警部 森田貴則
熊野寮自治会
抗議文
京都府警察による2024年6月25日の京都大学熊野寮(以下、寮と記す)への家宅捜索において、公安警察・機動隊による不当行為・人権侵害が行われた。これに対し、寮自治会として強く抗議する。
今回の家宅捜索の不当性を以下に具体的に述べる。
1.事件を口実にした寮自治会に対する不当な弾圧である
1‐1.捜索場所の不当性から
捜索場所と事件との関連が不明である。関連があると判断した根拠を明らかにすべきである。
根拠が明らかにできないならば、証拠の捜索が目的であるとは言えず、単に寮に家宅捜索する口実を設けているとしか考えられない。
1‐2.「差し押さえるべき物」の不当性から
押収品に関して、事件と関連がないものを押収しようとしていた。寮生の抗議によってそのような物品は押収されなかったが、事件を口実にした自治会への不当な介入・情報収集・弾圧であると言える。
1‐3.「捜索すべき場所」・「検証すべき場所」の不当性から
捜索差押令状および検証許可状に関して、警察は事件と関連がない箇所、また捜査員でさえ存在を認識していない箇所を捜索・検証しようとした。寮生の抗議によってそのような捜索・検証はなされなかったが、これは事件を口実にした自治会への不当な介入・情報収集・弾圧である。
1‐4.捜索の夜間執行許可から
今回の捜索令状の中には夜間執行が許可されているものがあった。しかし熊野寮は多くの寮生が生活する居住空間である。捜索は昼間であれ寮生の人権を著しく侵害するが、夜間の捜索はより著しく侵害する。夜間執行の許可は熊野寮の居住性を無視した不当な許可である。
2.現場での公安警察・機動隊の不当な行為
2‐1.令状の不呈示
捜索場所であるB地下ボックスは熊野寮敷地内であり、寮自治会の管理下にある。しかしながら公安警察および機動隊は、寮生に一切令状を呈示することなく襲撃的に寮内に侵入し、寮内を占拠した。さらには寮生が幾度にも渡り、全寮生参加可能かつ地上での令状呈示を要求したにもかかわらず、これを拒否した。令状の呈示がなされたのは、機動隊の突入後、1時間以上経過してからであった。
2‐2.警察手帳の不呈示
職務執行中の警察官が相手に警察手帳の呈示を求められたとき、これに応じないのは警察手帳規則第5条により違法であるにも関わらず、寮生が警察に警察手帳の呈示を要求した際これに応じなかった。
2‐3.寮内・寮生への撮影
今回、捜索範囲外であるロビー或いは駐輪場にてカメラでの撮影がなされていた。その都度寮生は抗議したが撮影は継続された。
撮影は実質的な証拠収集に当たると同時に、令状に記載されていないため違法である。さらにこれは寮生に対する肖像権を侵害するものである。
2‐4.生活空間の破壊と寮生への威圧
今回の家宅捜索は事前に寮自治会への通告はなく、襲撃といって過言ではないものであった。捜索に際し、明らかに必要のない人数規模の機動隊員を動員し寮に押し寄せ、寮の玄関・階段を占拠し、寮生の通行を妨げた。
また、警察はエンジンカッターをはじめとした多くの機材を捜索に導入した。不当な捜索にとどまらず、寮の物品の破壊を仄めかし、寮生を威圧することは到底認められない。
そもそも機動隊の動員自体が不当である。捜査員は「捜索の妨害を防ぐため」と主張していたが、捜索範囲の広さに見合った人数の捜査員だけで十分事足りるはずである。実際に、2023年4月30日の捜索において、捜査員は寮生の機動隊は不要であるという意見に同意し、寮内に一切導入させず、捜索の終了を待たずして機動隊を撤退させた。今回の過剰な機動隊の動員は寮生を威圧し、また寮を「危険である」とイメージ付けるためのパフォーマンスでしかない。
2‐5.寮生への暴力行為
今回の捜索では機動隊・公安警察の暴力がエスカレートし、数多くの寮生・市民が負傷、或いは物的損失を負った。特に高所から寮生を突き落とすといった、度を越えた危険な暴力行為や、機動隊の暴力によって頭部を打ち付けた寮生を救急搬送する際に、救急隊の進路を妨害したことは、人命を危機にさらす非常に危険な行為である。捜索に不要な機動隊を動員し、寮生の命を危険にさらす行為は、到底許されるべきものではなく、適切な捜査の範囲を大きく越えた不当行為かつ明らかな人権侵害である。
以上を踏まえ、再度強く抗議し、以下を求める。
記
警察は不当な令状請求と夜間執行許可請求、捜索に不要である機動隊の動員と暴力行為、存在を認識していない箇所についての令状の請求、そして不当かつ違法な家宅捜索を二度と行わないこと。
裁判所は今回の家宅捜索の不当性と違法性について認識し、そのような捜索を引き起こす曖昧な令状、および警察が存在を認識していない箇所についての令状の許可、発行を二度と行わないこと。
以上
なお、今回と同様の違法・不当行為が再度認められた場合には、法的措置も含め、厳正に対処する所存である。
付記
差出人
〒606-8393
京都府京都市左京区丸太町通川端東入東竹屋町50番地京都大学熊野寮
京都大学熊野寮自治会
受取人
〒604-8550
京都府京都市中京区菊屋町
京都簡易裁判所 裁判官 樋口裕晃
〒604-8804
京都府京都市中京区壬生坊城町48-16
京都府中京警察署 司法警察員 宮路喬
〒602-8550
京都府京都市上京区下長者町通新町西入薮之内町85番地3
京都府警察本部 警備部公安課 司法警察員警部 森田貴則
熊野寮自治会は、2024年6月25日に不当な家宅捜索を行った京都府警察、およびその不当な捜索の令状を発行した京都簡易裁判所に対して抗議します。
今回の家宅捜索では、捜索場所と被疑事実との関連が不明であり、また押収品に関しても、警察は事件と関連がないPCを押収しました。さらに裁判所は警察が存在を認識していない箇所への捜索・検証令状を発行し、寮生の抗議に関わらず警察は令状の執行を強行しようとしました。
警察は令状を呈示せず、朝7時に寮内に機動隊とともに突入し、また寮生の令状呈示の求めに速やかに応じず、1時間以上にわたって寮の玄関を不当に占拠し、その他の場所では捜索の範囲でないにもかかわらず、数時間にわたって寮生を排除、占拠しました。
このような曖昧な令状の発行や根拠のない押収、不当な寮内占拠は、事件を口実にした寮自治会への不当な介入・情報収集・弾圧であると訴えます。
さらに今回の家宅捜索では、警察による暴力行為が多数確認されました。眼鏡や衣類など寮生の物品の他、家具や郵便受けの破損だけでなく、令状に記載のない違法な押収である撮影に抗議する寮生や、機動隊の不当な占拠に抗議する寮生が警察に突き飛ばされたり、機動隊の盾に挟まれたりするなどして、少なくとも10名以上の寮生が打撲や傷が残る怪我を負いました。また頭部に怪我を負った寮生1名が救急搬送される事態も発生し、救急搬送を警察が妨害するという人命を危険にさらす行為まで確認されました。
2023年の家宅捜索においては、警察は「機動隊は不要である」という寮生の意見に同意し、寮内に機動隊を一切導入させず、捜索の終了を待たずして撤退させました。今回の過剰な機動隊の動員は、寮生を威圧し、また熊野寮を「危険である」とイメージ付けるためのパフォーマンスでしかありません。
このような国家権力の横暴を熊野寮自治会は決して許しません。熊野寮自治会は警察および裁判所の不当な行為について、抗議の声を上げます。これを読んで頂いたみなさんに対し、共に声をあげることを呼びかけます。
捜索差押許可状
被疑者の氏名及び年齢 (被疑者氏名) (被疑者生年月日)
被疑者に対する 詐欺 被疑事件について、下記のとおり捜索及び差押えをすることを許可する。
捜索すべき場所、身体又は物 別紙のとおり
差し押さえるべき物 別紙のとおり
差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべきものの範囲 別紙のとおり
有効期間 令和6年6月27日まで
有効期間経過後は、この令状により捜索又は差押えに着手することができない。この場合には、これを当裁判所に返還しなければならない。
有効期間内であっても、捜索又は差押えの必要がなくなったときは、直ちにこれを当裁判所に返還しなければならない。
令和6年6月20日
京都簡易裁判所
裁判官 樋口 裕晃
請求者の官公職氏名 京都府 中京警察署 司法警察員 宮路喬
本令状の夜間執行を許可する。
別紙
捜索すべき場所、身体又は物
京都市左京区丸太町通川端東入東竹屋町50番地
京都大学熊野寮B棟地下の中核派が使用するボックス及び同ボックス前廊下
別紙
差し押さえるべきもの
1 本件犯行を明らかにする
(1)住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金支給確認書、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金の案内書類、封書、封筒、ハガキ、手紙、パンフレット、リーフレット、FAX文書、その他給付金手続きに関する書類
(2)預貯金通帳、クレジットカード、キャッシュカード、口座開設申込書、規約、約款、取引明細書、利用明細書、源泉徴収票、給与明細、本人確認書類、印鑑類
(3)手帳、電子手帳、日記、計画表、予定表、ノート、ファイル、書類、メモ帳、メモ紙、住所録、電話帳、カレンダー
2 本件犯行に至る動機、背景、目的、計画性、経緯、準備動向等との関連性を明らかにする
(1)綱領、規約、会則その他これに相当する文書、組織方針・活動記録・議事録・回顧録・通達・指示・命令・報告・連絡・伝言等が記載された書類
(2)組織図、組織表、名簿、住所録、電話帳、アドレス帳、名刺、手帳、電子手帳、計画表、予定表、連絡表、日誌、カレンダー、ファイル、ノート、メモ帳、メモ紙、手紙、はがき、封書、封筒、書類、FAX文書、機関誌(紙)、ビラ、写真、印鑑、鍵類
3 本件犯行の事後行為にかかる街宣車の入手状況、使用者、使用状況等を明らかにする
(1)普通乗用自動車(車台番号RC24-301637)にかかる自動車検査証及びその写し、エンジンキー
(2)購入、検査、登録、塗装、改造、修理等に関する見積書、注文書、請求書、明細書、契約書、領収書、委任状及びこれらに類する書類並びにこれらの写し
(3)自動車保管場所証明書、自動車保管場所使用承諾証明書、保管場所に関する契約・支払い関係書類及びこれらの写し
(4)自動車損害賠償責任保険証明書、自動車任意保険証書及び同保険料の支払いに関する書類
(5)資金管理に係る現金出納帳等の帳簿類、預貯金通帳、取引明細書、利用明細書、請求書、領収書、レシート、受領書、入出金伝票、契約書、注文書、送金・入金関係書類、クレジットカード、キャッシュカード、ETCカード、口座開設申込書、規約、約款、印鑑類
4 被疑者の人定事項を裏付ける
身分証明書、自動車運転免許証、国民健康保険被保険者証、住民基本台帳カード、印鑑登録証明書、戸籍謄本、戸籍謄本附票、住民登録票、各種会員証
5 上記事項に関するデータが記録されていると思料される
(1)サーバ、パーソナルコンピュータ、タブレット及び通信機器並びにその付属機器類
(2)スマートフォン、携帯電話及びその付属機器類
(3)デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ボイスレコーダー、録音機器及び録音テープ、ビデオテープ、ハードディスク、CD、DVD、USBメモリ、SDカード、ミニSDカード、マイクロSDカード等の各種電磁的記録媒体並びにその付属機器・周辺機器類、その他これに類するもの
(4)上記の機器類を起動するために必要なID及びパスワードの類が記載若しくは記録されたもの
別紙
差し押さえるべき電子計算機に電子通信回線で接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべきものの範囲
1 差し押さえるべきパーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末からの接続可能なファイル保管用のサーバの記録媒体の記録領域であって、当該パーソナルコンピュータ等の使用者に使用されているもの。
2 差し押さえるべきパーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末からの接続可能なメールサーバの記録媒体の記録領域であって、当該パーソナルコンピュータ等の使用者のメールアドレスに係る送受信メールを保管するために使用されているもの。
様式35号(刑訴第222条、第120条、規則第96条)
押収品目録交付書
令和6年6月25日
(立会人氏名) 殿
京都府中京警察署 応援派遣 京都府警察本部警備部公安課
司法警察員警部 森田貴則
被疑者 (被疑者氏名) に対する 詐欺 被疑事件につき、令和6年6月25日 京都市左京区丸太町通川端東入東竹屋町50京都大学熊野寮B棟地下ボックスにおいて、本職は、下記目録の物件を押収したので、この目録を交付します。
押収品目録
番号 品名 数量
1 ノート型パソコン 1台
富士通製 白色
ACアダプター付
2 デスクトップ型パソコン 1台
電源コード
マウス
レノボ製 紺色
3 ノート型パソコン 1台
富士通製 黒色
ACアダプター付
4 ノート型パソコン 1台
NEC製 白色
ACアダプター付