今、京都大学の象徴だった「自由」は風前の灯火だ。

 

 総長と一握りの役員が独裁的な権限を握り、教授会は総長に「意見を述べる」ことしかできず、学生に至ってはこれまであった対話の場がことごとく奪われてきた。こうした中で学生は一方的な管理強化と権利破壊が横行する事態にさらされている。

 

 例えば、かつて石垣を埋め尽くした立て看板は撤去され、11月祭は大学当局の介入により禁酒となった。入学試験日に受験生を応援する像を立てることも禁止された。キャップ制で履修の選択の自由が奪われ、拠り所であった保健診療所は一方的に廃止され、学生寮の解体をめぐる裁判も行われている。これらは全て、当事者たる学生との話し合いもなければ、抗議の声への満足いく応答もなされず一方的に行われてきた。

 

 これらの理不尽な状況の数々は、政府主導で進められた大学改革によって、これまで教職員や学生が協議し自主的に作ってきた大学の自治が日本全国で徹底的に解体される中で起きてきたことだ。

 

 我々熊野寮に対しては、京都大学当局はもともとあった団体交渉という話し合いの場を2016年以降拒否する、大学と寮自治会との間の約束事として代々引き継がれてきた確約を一方的に無視するといったことを始めとし、施設・物品の補修・補充の一時停止、熊野寮祭への過度な介入や警察動員を行ってきた。こうしたことは他の数多の大学において学生自治寮を潰す際に行われてきたことであり、熊野寮廃寮化に向けての動きである。そのような中で京都大学当局は2016年から今日に至るまで10名を超える寮生に対して不当な学生処分を行ってきた。

 

 学生処分は学生弾圧であり、熊野寮の自治への解体攻撃である。

 学生処分は「京都大学学生懲戒規程」に則り行われる。しかし実際には、「学生の本分」という曖昧な言葉によって、国・大学当局による大学支配の妨げとなる学生活動を潰すための恣意的な処分が行われてきた。具体的には、立て看板規制や入試規制、寮祭への規制など学生圧殺のための規制に抗議の声をあげ、規制を実力で突破してきた学生への処分、全学規模の学生自治会を作ろうとはたらきかけてきた学生への処分などである。

 こうした処分は、学生個人への弾圧にとどまらない。同様の行為に及べば同様に処分するという脅しとしても機能する。たとえ納得のいかない一方的な権利破壊であってもそれに逆らうなという学生全体への弾圧でもある。

 なにより学内から学生の自由な活動とそれを保障する学生自治を一掃するために、学生自治の一大拠点である熊野寮の自治を解体しようという攻撃である。実際に処分が下された後、復学を希望する寮生に対して「学生自治活動に関わらないこと」という条件が提示されたこともある。

 

 学生処分によって学生の活動を委縮させ、自治を破壊することが大学当局の狙いなのである。

 

 一学生自治会として、そしてもっとも集中的に処分攻撃を受けている学生寮として、熊野寮自治会は不当な学生処分を絶対に許すことはできない。

 

 そして今、新たに5人の学生に対して処分に向けた呼び出しが行われている。2022年の熊野寮祭企画「総長室突入」で、「学生等を扇動」したり「喧騒を激化」させたことが理由とされている。「総長室突入」では今の京都大学の対話拒否・学生無視の態度を変えるべく200人以上の学生が共に抗議行動に立った。今回の処分呼び出しは、その最先頭に立った学生を処分し、学生の溢れる怒りを何とか圧殺しようとする京都大学当局による学生弾圧である。

 

 これ以上不当な学生処分を許していいのか?これ以上学生が大学当局に一方的な決定を押し付けられ、学生の権利と自由を奪い続けられる状況を許していいのか?

 

 京都大学では処分によって学生が萎縮し、処分反対集会にもほとんど学生が集まらない状況だった。しかし2019年から熊野寮を始めとして全学的に処分の阻止・撤回を掲げた闘争を行ってきた。この闘争は、不当に処分された学生とともに学生処分そのものに反対し、国策の下で対話拒否・学生処分を続ける大学当局の支配を否定していくものとして爆発した。そして処分の阻止・撤回闘争は、多くの学生・教職員・市民の結集により奪われてきた学生の活動領域を徐々に広げてきた。

 

 5学生が呼び出され、新たな学生処分が行われようとしている今こそ、我々はこの処分呼び出しを止めなければならない。

 この集会は京都大学、ひいては日本の全大学で奪われている、権利・自由を取り戻す闘いの突破口だ。国家権力による自治解体攻撃と闘う最前線であり、一人では立ち向かえない権力による抑圧も、団結すれば必ず乗り越えられることを示す集会だ。

 

全学生・教職員・市民は京大新歓学生集会に結集しよう!

5学生への処分呼び出し撤回を突破口に、奪われてきた権利を取り戻す闘いに打って出よう!